捲土重来けんどちょうらい

意味
一度失敗した人がまた盛り返すこと。
例文
今年は失敗したけど捲土重来だ。来年また頑張ろう。
出典
杜牧とぼく『題烏江亭』(烏江亭うこうていに題す)……杜牧(803~853年)は中国晩唐の詩人。陝西せんせい省の人。『題烏江亭』は杜牧による詩で、項羽が垓下がいかの戦いで劉邦に敗れ烏江で自刎じふんした古跡にちなんだもの。

「捲土重来」の由来

捲土重来」は杜牧の詞が元となってできた故事成語です。中国の秦~前漢の時代、劉邦に敗れた項羽は長江西岸にある烏江まで落ちのびてきました。その場面を詠った詩です。まずは年表と地図を見てみましょう。

「捲土重来」の故事の時代

「捲土重来」の故事の時代(年表)
捲土重来」の故事の時代(年表)。紀元前202年の出来事です。紀元前206年に秦が滅び、紀元前202年に劉邦が即位する直前です。

「捲土重来」の故事の場所

「捲土重来」の故事の場所(歴史地図)
捲土重来」の故事の場所(歴史地図)。烏江うこうは現在の南京の西にあり、長江の西岸です。垓下がいかの戦いで敗れた項羽は烏江に落ち延びてきました。

「捲土重来」の故事

項羽。
項羽。

『史記』項羽本紀には、垓下で宿敵・劉邦との戦いに敗れ烏江まで落ちのびてきた項羽に、この地の長が「捲土重来を期せ」と説得する場面が出てきます。項羽はその言葉に「天は私をもう見放した」と言って、江東(長江の東側の地)の子弟を兵として連れていったのに一人も生還させられなかった、親たちに合わせる顔がないとその勧めを断り自刎します。

この時の項羽はまだ三十代の初め。人生をあきらめるには早すぎます。司馬遼太郎はその小説『項羽と劉邦』の中で、楚という南方の人は勢いづけば火を噴くように剽悍に戦うが、戦術に計画性が乏しく、戦勢が困難になると士気阻喪してくずれやすいと書いています。まさに楚の人・項羽という人そのもののようにも聞こえます。杜牧が惜しんだようにもしこの屈辱に耐えたならば、項羽はまたひと花ふた花咲かせることができたかもしれません。

捲土重来はこの烏江亭の長の言葉から生まれた成語です。直訳的な意味は「土煙を巻き上げるようにもう一度チャレンジせよ」ということで、元気が出てくる言葉です。

「題烏江亭」の原文

題烏江亭

勝敗兵家事不期

包羞忍恥是男兒

江東子弟多才俊

捲土重來未可知

「題烏江亭」の書き下し文

題烏江亭

勝敗は兵家も事期せず

羞を包み恥を忍ぶは是男児

江東の子弟 才俊多し

土を捲いて重ねて来たらば 未だ知るべからず

「題烏江亭」の現代語訳

烏江亭にて

戦いの勝敗は兵家という専門家でもわからないものだ。

男子たるもの大義の前には恥をしのんでこそ。

江東には優秀な若者が多い。

項羽がもう一度巻き返していたならば、歴史はどうなっていたかわからない。

項羽の最期。
項羽の最期。

「捲土重来」の関連語

「捲土重来」の中国語

中国語卷土重来
ピンインjuǎn tǔ chóng lái
音声
意味失敗した後また立て直すこと。意味は日本語と同じですが「捲土重来」の「捲」の字が中国語は異なります。

杜牧はたとえば『江南春』や『清明』のような絵画的な作風でも有名です。